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トイレの町おこし

 これまでにも書いた通り、わたしが日頃気にしていることの一つが「トイレ」なのだけれど、近頃想像するのは、トイレが中心に据えられた観光地があったら面白いんじゃないか、ということ。つまりはトイレが町おこしになるんじゃないかなあ、という妄想。

 というのも、いまや日本社会において、トイレはただの排泄のための場所だけではなくなってきた、と思うからだ。デザイン性も、機能性も、そしてトイレにまつわるさまざまな逸話も、増えてきている。例えばデザイン性という面ひとつとっても、『TOKYO TOILET MAP』という本が出版されているほどだ。

  また、トイレにまつわる逸話としては、『トイレの神様』という歌が数年前に流行っただけでなく、「トイレ掃除を一生懸命した経営者が会社を大成功させた」という話はイエローハットの創始者の他にも聞くことが多いし、トイレを綺麗にすると元気な子供が産まれるといった話も聞いたことがある。妹尾河童の『河童が覗いたトイレまんだら』を読んでも、いろいろな人が、それぞれのこだわりをもってトイレをコーディネートしていることが見て取れる。トイレは、エピソードの宝庫だ。

  町おこしとしては、いろいろな著名人の家のトイレのレプリカが町中にあって実際に使うことができたり、皇居や他の国の王宮などのトイレが展示されていても面白い。『テルマエロマエ』の主人公、ルシウスは風呂職人だったが、いろいろな創意工夫をこらせば、トイレだってルシウスが作る風呂のように、人々を癒す場所にもできるかもしれない。安産祈願の人はここのトイレを使うと良い、金運アップを狙うならあそこのトイレ、というふうにしても面白い。町の土産屋にはトイレットペーパーの他、整腸作用のある食品もたくさん売られていて、便秘に長年悩んでいる人が集まってくるかもしれない。都心と、もっと有名な観光地のちょうど中間くらいの距離にある町ならば、長距離をドライブする旅行客がトイレ休憩がてらに半日過ごす町として流行らせるなんていうのも良いだろう。そして、ここのトイレを磨けば良い出会いがあるーーという逸話のひとつでもできれば、観光として訪れる人も増え、同時に、訪れる人たちによってトイレは磨かれ綺麗になる。そして、トイレに行きたくなるように、やたらとたくさん、水やお茶を飲める場所があってーー

 こんな妄想ばかりして日々を過ごしているわけではないけれど、「やたら公衆トイレが見つからない観光地」があるのだから、「見るものといったらトイレばっかりの観光地」もあったって良いじゃないか、というシンプルなアイディア。面白いと思うのだけれど。