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下町スポーツジムの女風呂

風呂 エッセイ サウナ

 わたしは自宅からほど近いスポーツジムの会員になっていて、気楽にランニングマシン使ったり、プールで泳いだりしている。そうやって運動するのも大切だけれど、わたしにとってはそこについている風呂が大切だ。自宅で風呂を沸かして入るより、ジムの風呂に入るほうが頻度が高くなってしまったほどだ。

 スポーツジムの中でも、ジムエリアやプールは男女兼用だけれども、更衣室や風呂・サウナは当然男女が分かれている。女性向け更衣室や風呂・サウナは、「下町のおばちゃんたち」のコミュニティが出来上がっているのだ。

 コミュニティといっても、いくつかのグループに分かれている。主に時間帯とジムの利用の仕方で分かれていて、日中に来る人、夕方に来る人、特定のグループレッスンを受ける人などなど。ここに来る人たちは、基本的に時間に性格で、いつも同じくらいの時間には同じ人たちが集まっている。ちょっと時間をずらすだけで、まったく知らない人たちばかりの場になってしまう。また、お互いの存在を強く意識していて、「あら、今日は早いのね」「先週あまり来てなかったわね」などという挨拶は当たり前、加えてひそひそ声で、「◯◯さんと会わないために、最近ちょっと早く来てるのよ」なんて声も聞こえる。

 会員になりたての頃は、おばちゃんたちの人間関係・力関係はほとんど見えていなかった。けれども、会員になってもう一年になると、さすがに馴染んでくるし、見えてくる。コミュニティが特に濃いのは、サウナの中だ。

 サウナは狭く閉じられた空間なので、他人の存在が目に入りやすい。とはいえ、ただ何度か一緒になった程度では距離は縮まらず、中に入り込むには良い仲介者が必要だ。わたしにとっては大家さんがその存在だった。大家さんも同じジムに入っているが、ある日、お風呂に入っていたら大家さんと会って、「サウナに入ってみなさいよ、気持ちいいよ」と勧められた。それまでのわたしにとっては、サウナという閉じられた空間はやはり入りにくく、もう少し開放的な風呂の側にいつも入っていた。けれども、大家さんがいるのであれば、と思い、ドキドキしながらついていった。

 入っていくと、お風呂場で何度か見たことあるけれども挨拶もしたことないようなおばちゃんたちがずらり。大家さんが「ウチの上の階に住んでる子なのよ」なんていって紹介してくれて、徐々に会話が始まる。サウナ初心者だったわたしは、すぐにクラクラして、サウナを出てしまったけれど、その日を境に、状況は変わった。

 どう変わったかというと、翌日以降、いつもではないけれど、風呂に入っていると「あら、今日はサウナ来ないの?」などと声をかけてくれるようになったのだ。名前まで覚えてもらった。

 今では、ジムに行けばサウナまで入るのも当然。しばらくサウナでおばちゃんたちと話して、水風呂入ってを繰り返し、すっきりしてから帰宅する。おばちゃんたちとの関係性は、最初がレベル0だったとしたら、今はレベル3くらいだろうか。レベル1になったのが、大家さんが仲介者になってくれたとき。レベルが2になり、3になったときの話は、また今度。