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わたし三大コレクション

エッセイ 趣味

 昔からシールとかカードとかを無心にコレクションするタイプではなかったけれど、実家を出て一人暮らしをするようになってから、つい買ってしまうものがある。わたしの三大コレクション。石鹸・日本手拭い・お茶。五大コレクションなら、それにマグカップとノートが加わる。

 石鹸は、固形石鹸のことで、顔を洗うにも、体を洗うにも使っている。かすかにラベンダーやローズの香りがただようのが好きで、あまり香りが強いのは好みでない。新しい石鹸の封を開けて使い始める時は特に気持ちが良い。蛇口からぬるま湯を流しながら、石鹸を濡らし、二、三回手のひらで撫でる。あとは石鹸置きに置いて良い。それで手のひらに残った石鹸が泡立つように手をこすり合わせると、みるみる、やわらかで暖かな泡ができあがる。それを、濡れた顔に乗せて洗顔するのが、とても贅沢な時間だ。

 日本手拭いもコレクションのひとつ。もちろん柄で選ぶけれど、飾ったり鑑賞したりという目的ではなく、ガンガン使う。基本的には、スポーツジムに持って行って、風呂に入る時に使う。それで体も洗うし、髪も拭くし、体も拭く。絞りながら使えば、日本手拭いが二枚あれば、入浴には事足りるようになった。バスタオルなどのかさばるものが不要になって、ひらりと薄い手拭い二枚で十分というのは、とても気が楽だ。洗濯してもすぐ乾く。アウトドアに出かける時も、旅行の時も、カバンに数枚入れれば、何かの役に立つ。いまでは100円均一などにも売っていたりするけれど、染めが違う。ちゃんとしたものは、裏と表がぱっとはわからないくらい綺麗に染められている。けれども、染めが甘いものは、片面は綺麗だけれども、裏面が白っぽい。あれは、染めているのではなく、プリントしているという感じなのだろうか。ともかく、染めはちゃんとしているのが好きだ。また、手拭い風ガーゼタオルなんてのも売っていて、縁は縫ってあるし、ガーゼが数枚重ねられて厚みがある。そちらの方がやわらかで好きな人もいるだろうけれど、縁が縫ってあるのが気に入らない。タオルなどもそうだけれど、縁が縫ってあると、そこの汚れがとれなかったり、乾燥が半端だとカビが生えたりする。ただ織った綿を切りっぱなしにした、あの手拭いのざっくりとした感じがたまらないのだ。

 最後は、お茶。お茶は結構いろいろ好きで、煎茶、ほうじ茶、玄米茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティーなど、それぞれの風味を味わう。気軽に楽しめるのでティーバッグを買うことが多いけれど、美味しいのが飲みたい時用の、ティーバッグでないものも買っている。ハーブティーならばカモミールかレモンジンジャーティー。キッチンの窓辺でミントを育てていた時は、ぷちんと一茎摘み取って、軽く洗ってティーポットにそのまま放り込み、お湯を注いで飲んでいた。美味しい時と、妙に青臭い時とあったけれど、キッチンで摘んだばかりと思いながら飲むのは楽しい。また、お茶の種類によって、それが飲まれている文化によって、飲み方の「こだわり」があるのも面白い。煎茶は一度沸騰させた後冷ましたお湯で入れるとか、ミルクティーならばまずはカップにミルクを入れてから紅茶を注ぐとか。そういうことに心を砕く人がいろんな社会にいるんだなあと思うと、どうしても好きになってしまう。

 石鹸も手拭いもお茶も、毎日使う一方で、なかなか消費・消耗しない。お茶なんかはほんとうにしょっちゅう飲むのに、一度淹れたら何度かはお湯を足すから飲むお湯の量の割にお茶の葉自体の消費は少ないし、石鹸だって、そんなに早くはなくならない。手拭いだって、あれは、しぶとい。それなのに、石鹸も手拭いもお茶も、それぞれ趣味の良いお店があるものだから、つい買いたくなってしまう。買ったってストックが増える一方。ほんとうに欲しいと思うペースで買ってしまうときりがないから、我慢の一方だ。お茶はこの間買ったけれど、手拭いは一年は買っていないし、石鹸も半年は我慢している。ああ、ほしい。わたしの三大コレクション。