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トンビかタカか

 金沢に旅行に来た。金沢といえば加賀百万石。古くから文化が栄えた町で、その落ち着いた美しさ、磨かれた歴史、美味しい食を大いに楽しんでいる。

 ひがし茶屋街を歩いていたら、神社を見つけた。そこは、卯辰山(うたつやま)で鷹狩りをしていた前田家のお殿さまが、休憩に来ていた場所だという。ああ、こんな場所で鷹狩りをしていたんだあ、と当時の情景を思い浮かべる。猛禽が好きな私には、なんともうっとりのシチュエーション。すぐ近くの浅野川にはシラサギが立っていて、突然川の中に突っ伏すように頭を突っ込んだと思ったら、器用に魚を捕まえていた。川と、その向こうの卯辰山。その風景に、昔のお殿さまが鷹狩りをしていただろう姿がイメージされる・・・

 

と思ったら。

悠然と、大きな鳥が飛んできた。一瞬カラスかと思ったけれど、それよりうんと大きい。そして余計な羽ばたきなんて一切ない。空を支配しているような飛び方。

ちょうど鷹狩りについて創造をふくらましていた矢先だったから、鷹だ!と直感的に思った。目に巨大に映るその鳥を、急いでスマホのカメラに収めようとした。

ようやく撮れたのが、この写真。

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 この鳥が本当に鷹なのか、わからない。トンビかもしれない。尾羽の広がる形は扇のようで、トンビとは違うようだったけれど、自信をもって鷹だったといえるほどの知識はない。

 

 ゆっくりともいえるスピードでしばらく飛んだあと、その鳥は近くのビルのアンテナに止まり、そのあとはじっとしていた。

 また飛ばないかな・・・そんな風に思っていたら。

 別の方向から、もう一羽、おなじように悠然と、どこからともなく飛んできた。そいつも大きい身体を余裕で飛ばし、しばらくしたら別の方角にあるビルの屋根にとまった。

 しばらく興奮さめやらないまま、わたしはこの場所を立ち去った。

 

 ああ、あれはトンビだったか、タカだったか。本当はどっちだったにせよ、わたしは鷹だったということにしたい。