Happy New Yearは数えられるか?

 年賀状の季節になった。近くの郵便局では、さまざまなデザインの年賀状を売り始めている。といっても、わたしとしては年賀状という文化からだいぶ離れてしまっているけれど。それでも、せっかくハガキを書くという趣味を始めたのだから、今年の暮れは年賀状を書いてみようかと思う。

 中学生か高校生の頃だったか、まだ英語の理解も今より浅かったころ、年賀状に「Happy New Year!」と格好つけて英語で書いたことがあった。その頃は今よりも年賀状の文化が残っていたから、同じ部活やクラスメイトの子、幼馴染なんかにこちらからも送ったし、向こうからも送られてきていた。よく見ると、「Happy New Year」と書いている子と、「A Happy New Year」と書いている子がいた。あれ。どっちが正しいんだっけ。

 当時のわたしにとって、一番参照しやすいのは、歌だった。そうそう、こんなクリスマスソングがある。

“We wish you a merry Christmas,
We wish you a merry Christmas,
We wish you a merry Christmas,
And a happy new year”

 これを見れば、一目瞭然、 “Merry Christmas” にも “happy new year” にも、最初に “a”はつくべきなのだ!私は、そう信じた。

 けれども、だからといって「じゃあ年賀状やクリスマスカードにも “a merry Christmas” とか “a happy new year” と書けば良いんだな」と理解するのはトラップで、この歌詞の中に “a” がつくのは、そういう文になっているからというだけ。Weが主語、wishが動詞、youが目的語、a merry Christmasも目的語の、いわゆる「SVOO構文」だ。良い一日を、というような意味の “have a nice day” とほぼ同じ形。この場合も、目的語の “a nice day”には冠詞の “a”がつく。
メリークリスマスもハッピーニューイヤーも、挨拶の言葉なら、“a”は不要。結局はそういうことで、それは朝の挨拶の「グッドモーニング」に“a”が付かないのと同じ理由だった。

 わかってしまえばなんてことはない、単純なことだけれども、“a happy new year”とも “happy new year” ともどちらとも使えるというのは、当時は訳が分からず、混乱したものだった。「ビスケットは一枚、二枚と数えられるから加算名詞、ケーキで一切れ、二切れと数えるなら “a piece of cake”といわなければならず、ケーキ自体は不可算名詞」などと一対一対応で覚えようとすると、「両方アリ」なパターンで混乱するのだ。

 あれれ。よく考えたら、ピコ太郎に出会って以来、英語の冠詞についてやたら目につく気がする。妙な影響受けてしまったなあ。