足湯の作法

 冬は足元が冷えやすい。お風呂を入った後でも、しばらくすると足先が冷たくなっていたりする。そういうときの、簡単な秘策が、足湯だ。うちのお風呂場には、ちょうどカカトからつま先までが入るくらいのサイズの金だらいを置いている。せいぜいくるぶしくらいの深さまでしかお湯は溜められないが、お湯を溜めて、足を浸ける。しばらく足を浸けたまま、しばらくリラックス。このときのちょっとしたコツを、書いてみようと思う。

 お風呂場に何を持ち込むか。これが重要になる。私は20分か、それより長いくらい足湯をすることが多いけれど、この間何もしないのもつまらない。お風呂場という閉鎖的でプライベートな空間で何をするか、というのも、ひとつのリラックスの助けになる。

 何より大事なのは、差し湯用の、お湯が入ったポットだ。これがなければ、足湯は成り立たないといっても過言ではない。なぜなら、金だらいに溜めたお湯は、冷たい足を漬ければすぐに冷めてしまうからだ。ティファールで1.5リットルくらいお湯を沸かし、ティファールごともっていく。それを、手元に置いておいて、お湯が冷めないように適宜足していく。

 次に大切なのは、飲み物だ。冬の寒い日は、熱い飲み物。最近は、お手製の蜂蜜レモンジンジャー。足先も温めるが、お腹の中も一緒に温めると、短時間の足湯で全身温まる気がする。ティファールで多めのお湯を沸かしておいて、金だらいに足湯としてお湯を足しつつ、白湯としてお湯を飲むときもある。汗をかくから、水分は必須だ。冬でなければ、麦茶なども良い。

 差し湯用のお湯と飲み物以外は、まあ、なにを持ち込んでも良い。わたしの場合は、入浴剤も使う。森の香りとかそういう入浴剤。バスソルトを入れるときもある。ただのお湯より、発汗できる気がするし、好きな香りの入浴剤を使えば、それだけでリラックス出来る。また、湯船にお湯を溜めての入浴よりも、金だらいのお湯は量が少ないから、入浴剤も少しで足りる。だからこそ、ちょっといつもより良い入浴剤をちょこっと、という楽しみ方もできる。ささやかな贅沢だ。

 あとは、音楽をかける。そのときの気分で、クラシックだったり、アニソンだったり、ポップスだったりとさまざま。落語を聞くときもある。

 ほかのお供は、雑誌のときもあれば、文庫、はたまた3DSのときもある。足湯だけであれば、お風呂場もそこまで蒸気で満たされたりはしないので、湿気もそこまで心配する必要はないと思う。とはいえ、基本はふやけたり濡れても良いものしか持ち込まない方が良いだろうけれど。

 ちなみに、足湯の間の服装だが、ズボンは脱ぐ。濡れたらめんどうだから。でも、上半身は普通に部屋着のままで良い。むしろそれまで脱いでしまうと、足湯だけでは寒いので、何か着ていた方が良いと思う。だんだん汗をかいてくるので、あんまり洒落た服を着たままということはない。コットンのパジャマの上などは丁度良い。

 あとは、手元にタオルが一枚あれば完璧だ。タオルが手近にないと、いざ何か濡れちゃまずいものが濡れたときに焦ってしまうし、足湯をやめるときもサッと足を拭ける。足湯終わりの目安は、お湯に浸けてる部分の足が赤くなった頃ということにしている。最後に乾燥を防ぐためにボディクリームを塗ったら、あとは足ぽかぽかでしばらく過ごせる。

 朝でも昼でも、夜でも、手軽に体を温められる。使うお湯の量も少ない。足の血行が良くなると全身の血行も良くなる、とか聞いたこともあるし、体にも良いと思う。この冬も、なんども足湯をすることになると思う。