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脱力したいとき

 冬は寒さで体がこわばる。外を歩いているときも、気がつくと肩にぎゅっと力が入っている。寒くて血行が悪くなりやすい上に肩に力がはいるのだから、一年の中でもこの季節は肩こり首こりが一番苦しい。師走の忙しさも相間れば、眉間のシワも一層深くなる。

 こういうときは、何か、自分が安心できる場所や状況をイメージすると、体の力をうまく抜ける、ということを聞いた。それは、柔らかい毛布だったり、自分の部屋だったり、家族だったり、暖かいコーヒーだったり、とにかく自分にとって安心できる場所やモノ。言い換えれば、自分が脱力しやすい環境を思い出すと良い、ということだ。なるほど確かに、自分がどういうときに脱力できているかを思い出してみるのは良さそうだ。そう思ったけれど、なかなかどれも上手く効かなかった。

 そんな中、夫がちょうど良いものを思いついてくれた。「水風呂」だ。水風呂は、サウナとか、熱めのお風呂の後などに入る、冷たい風呂。勧められた、柔らかい毛布や暖かいコーヒーなどとは対極の、「冷たい」イメージだけれども、これがわたしには強烈に効く。

 わたしは時々書いているように、スポーツジムに行って、体を動かしたり、お風呂に入ったり、その後サウナに入ったりするのをよく楽しんでいる。風呂やサウナで熱くなった体を水風呂に沈めるとき、あまりの冷たさに体中に力が入る。ゆっくりゆっくり、水風呂の中で腰を下ろし、肩まで浸かる。肩まで水に浸かったあと、ふっと、力を抜く。そうすると、風呂やサウナで暖められた体の表面の熱がじわりと水に溶けてゆく感じがする。それと一緒に、疲れも溶けてゆくように感じられる。それが、気持ち良くて、また風呂かサウナに戻り、体を温める。これを、3〜4往復くらいするのだ。

 柔らかい毛布も、お風呂も、わたしのことをリラックスさせてくれるけれど、水風呂は、入る過程で「自分から意識的に力を抜く」というプロセスが挟まる。これが鍵だった。毛布は「包まる」、コーヒーは「淹れる」「飲む」というのが直接の自分の行動で、その結果としてリラックスするのだけれど、水風呂は「入る」、そして「力を抜く」というのが直接の行動だ。だから「水風呂」を思い出すと、「力を抜く」という信号が反射的に脳内で発生する。そういう仕組みなのではないかと思う。

 

 冬の寒い日に水風呂を思い出してリラックスする、というのは変な話にも見える。でも、水風呂のおかげで、力を抜く良い練習ができている。他にも「意識的に力を抜く何か」を探してみたい。そのストックが増えたとき、もっとリラックスするのが上手になれるのではないかと思う。