けものの居ぬまに仕事

 今日は事務仕事を手伝いに実家に呼ばれて行った。リビングで、ひたすらに手を動かし、母の属する会の会報を発行する準備。よくよく考えたら、わたしも別の会の会報を発行するための編集をやっているから、母娘ともに似たような仕事をしているから不思議だ。

 昼頃に実家につき、頼まれた買い物を渡し、とりあえず昼ごはんと食卓に着いたら、食べている間でもお構いなしで、実家のフクロウはわたしを狙う。妙に飛び回ると思ったら食卓の上にタンッ!と乱暴に着地し、しばらく眺めていたと思ったら、ガツンとわたしの頭を蹴飛ばして食器棚へ。そこにいる間も、ずっと威張ったような格好をしてわたしを見ていた。食事中はやめてほしい、と思いつつ、フクロウには食事中かどうかなんて関係ない。とにかく、イライラモードだった。

 こんなに不機嫌なフクロウがリビングにいては仕事にならない。そういうことになって、廊下へ続くリビングの扉を開けた。扉から出ると玄関までつながっている。実家は玄関入ったところが吹き抜けになっていて、高いところに窓がある。うちのフクロウはその窓の縁へ行って外を眺めたり、吹き抜けにある梁に登ってじーっとしているのが好きだけれども、そんな高いところに行かれると、人間の手に届かなくなってしまうので、リビングに戻ってほしいときに連れもどせない。だいたい、呼べば必ず来るという生き物でもないし、じっとしているのは得意なので、下手をすると半日以上、そこにいる。普段はそこに行かないようにとしているけれど、仕事の邪魔になるのだからしかたない。事務仕事中、リビングは出入り禁止とし、吹き抜けにいてもらうことにした。フクロウはフクロウでわたしを見張る必要がない上にいつもはあまり許されない吹き抜けにいけるし、わたしはわたしでリビングを歩くのにビクビクしないで良い。ウィンウィンだ。仕事は、はかどった。

 「ふくろうはふくろうでわたしはわたしで」という言葉で思い出すのは、種田山頭火の俳句だ。

 ふくろうはふくろうで わたしはわたしで ねむれない

  種田山頭火

 

去年、ふくろうのことを調べているときに出会った句で、とても気に入っている。