祭りの気配

 もうこの季節になると、三社祭が話題に上がる。浅草の地元の人たちは、三社祭が終わった次の日から翌年の祭りの話を始めたりするそうだが、そうでない人たちも、祭りを意識するようになる。昨日は、お神輿を連れてお囃子とともに浅草の町を練り歩き、浅草寺の外陣へ「堂上げ」し、一晩、御本尊のところで泊まって、今日また「堂下げ」して戻したらしい。今日は泊まって明日帰るなんて、友達のお家へのお泊まりみたいな話だ。昼前から揃いの法被を着た人たちがぞろぞろ歩いているのを見て、やっぱり祭りの町なんだなあと思った。浅草寺の僧侶たちは読経をし、浅草神社宮司さんは祝詞を奏上したそうで、お寺と神社が一緒になっての儀式というのは興味深い。

 昨日は美容室に髪を切りに行ったのだけれども、そこの店長が言うには、祭りに賭けている女性たちは、祭りの日に髪をキュッと結う特別な髪型にするために、一年かけて髪を伸ばすなどして用意をするそうだ。そして、祭りが終わると一度ばさっと切って、また翌年の祭りに向けて髪を伸ばす。

 この街では、祭りが暦の中心のようだ。