ピコ太郎から英語を学ぼう

 中学で最初の頃に習う英文といったら?

 

   This is a pen.

 

 ではないだろうか。実際にはそうでなかったとしても、 "this is a pen" の威力はなかなかで、忘れがたい。ちなみに、わたしが中学一年生で最初に使った英語の教科書の、一番最初の英文は "I like tennis." だった。暗記させられたものだ。

  Mika:   I like tennis.

  Ms. Kato: Really? I like tennis, too.

  Kazuo:   I like soccer.

  Kazuo:   Do you like soccer, Mr. Davis?

  Mr. Davis: Yes, I do.

  Kazuo:   Do you like soccer, Ms. Kato?

  Ms. Kato: No, I don't, Kazuo. I like tennis.

 

 たしか、こんな会話文が、教科書の最初の会話だった。人名等は多少間違っているかもしれないが、だいたい正しいと思う。同世代の人は、見たことがあるかもしれない。わたしは、Ms. KatoがKazuoにサッカーが好きか聞かれても、きっぱり「好きじゃないわ」と言い、とにかくテニスの話をしたがるのが可笑しかった。「そうね、サッカーも面白いわね」くらい言えないのか。

 

 それはともかく。 "This is a pen." は強力だ。それが、ピコ太郎の「ペンパイナップルアップルペン」を見た感想。あの動画の妙な中毒性はなんなのだろう。いまこの記事を書いている時点で、72,892,500再生。

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 驚いたのは、動画全体を通して、 "I have 〜" という単純な文しか使っていないのに、冠詞がボロボロということ。そして、それ以上に驚いたのは、冠詞がダメダメなのに、 "I have a pen." だけは、あまりにナチュラルに正しいのだ。This is a pen. このフレーズがナチュラルに身についているからこそ、I have の後に pen が来るとなれば、その間に冠詞の a が入るのだ。そうだね、一本のペンを持ってるんだね。

 ちなみに、そのあとは "I have a apple" と冠詞が間違って聞こえたり、そもそも"I have pineapple" と冠詞がなかったり。そして、やっと繋げたpen-pineapple-apple-penにも冠詞は無くなっている。もはや、物体ではなく、なにかの概念になったということか。結局は繋げて一つのものになったなら "a pen-pineapple-apple-pen" でいいわけだし、もっと言えば、いよいよきました!ご存知のアレです!みたいなニュアンスならば "the pen-pineapple-apple-pen" になっても良いのではないか。

 というかカタカナの字幕は「ペンパイナッポーアッポーペン」なのに、その下の英語字幕は "Pen-Pineapple-Apple-PenPineapple pen !" なのもよく分からない。これでは "PPAP" じゃなく "PPAPPP" じゃないか!ああ、見るたびに謎が増えて、何度も見てしまう。まんまと術中にはまっている気がする。こうやって楽しむ動画なのか!まあ、この動画を取り上げて冠詞について突っ込むなんて無粋なのは百も承知なのだけど。

 

 この前、浅草の寄席の前を通ったら、人力車に乗ったピコ太郎がいた。りんごもパイナップルも持っていなかったけれど。いや、いつも心眼で見える透明のものをもっているのか。やっぱりあの衣装を着ていて、一眼カメラで写真を撮られていた。なにかの撮影だったのだと思う。あの派手な衣装を着ていなかったら・・・多分、気づけなかったと思う。

 英語の冠詞について考えさせてくれてありがとう。何回も再生しちゃったぜ!ピコ太郎にはそう伝えたい。