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試験の緊張

 こんなに寒い日がセンター試験というのは、受験生も大変だ。いまの日本社会ではやっぱり「どこの大学に行ったか」が人生を変える大きなきっかけの一つになりうる。もちろん、そうじゃない場合も多いけれど。大学でどんな人と出会って、どんな本に出会って、どんな経験をして・・・という積み重ねは、すくなくともわたしにとっては、とても大切なものになった。

 試験といって思い出すのは、小学生のころ塾で教えて貰った、「試験の緊張をほぐすためにやること」。それは、

「試験開始と言われたら、すぐに回答を始めるのではなく、まず天井をみて、ひと呼吸して、そのあと試験監督をみてニヤッとしてから、テストを始める」

というもの。試験開始と同時にニヤっとする受験生はなんとも怪しい感じもするが、これは、要は笑顔になるということだと思っている。でも、思春期に入る小学5年生に「ニコっとしましょう」といったって、きっと素直に聞かない。そこを「ニヤッと」にすることで、「やってみようかな」という気にさせる作戦だと思う。周りがバッと回答を始める中、自分はひと呼吸して、自分のペースで始める。それが、心の余裕につながる。

 その作戦を実践するようになってから、テストの点数が上がったーーということはなかった。ダメなときはダメだったし、調子が良いときは調子が良い。でも、「落ち着いてスタートさせる」ことについては、いつでも落ち着いていられた。それに、ニヤっとしても、一度も怪しまれて呼び出されたということもない。

 笑うとドーパミンが活性化するとか、ストレスが低減されるとか、免疫力が上がるとか、笑顔になることのメリットはいろいろ言われている。心から笑える状況じゃなくても、顔だけ笑顔にしてみるだけでも効果はあるらしい、とも言われているようだ。さすがに難しい試験の間、笑い続けることはできないけれど、試験の開始のときは絶対一瞬は笑顔になる、というのは、良いことだと思う。一度天井を見るのは、一度視野を広く取るということか。そして、周りの人を一旦視界から外すということか。首のストレッチにもなる。くれぐれも、左右は向かないようにしないといけないが。実際、この技を、大学受験でも、大学院の学年末試験のときにも使った。

 天井をみたあと、前を向いてニヤっとする。わたしの大切なおまじないの一つだ。