季節のことば

手紙を、書いた。会ったことない憧れの方に、お願い事をするためのものだったから、けっこうちゃんと書きたい手紙だった。

本文は、まぁまぁ書ける。でも、手紙の冒頭おきまりの、季節の挨拶というのが、難しかった。経験が少ないというのが大きい。ただ「寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか」では気が利かない。それに、形式張った、何々の候、うんぬんかんぬん〜も、実感が伴わないことばだから使いたくない。かといって、普段の生活の中で、どんなときに季節を感じているのか、というのを改めて探ると、なかなか思い出せない。ふだん、いかに季節的なことを頭の中で意識していないか、言語化していないかということに気付かされた。というより、意識していても、手紙の冒頭向きの、気の利いたものがレパートリーになかった。

干し芋が美味しい季節とか、外に出ると鼻先が冷たいだとか、お風呂に入ろうとつま先を湯船に入れるとチリチリするとか、そんなことは感じていても手紙にいきなりは書けない。しかも、改まった手紙では、なおのこと。

よく考えたら、都会に住んでいて、気温の暑い冷たい以外、あまり「季節」を感じる環境に身を置けていないのかもしれない。木の芽がどうなっているとか、どんな花が咲いていてとか、どんな匂いがするとか、それが実感しにくいのだ。

「ことば」とか、「ひと」には、いつもアンテナを立て、面白い出会いがあれば心に止めようと心がけているけれど、こうやってブログを書いているにもかかわらず、季節には無頓着だったのかもしれない。

もうすこし、周りの季節的な変化に目を向けようと思った。いつでも、ちょっと、気の利いた季節的な挨拶ができるように。