上野公園と田舎

 天気も良かったので、散歩がてら、上野公園まで行ってきた。

 そうしたら、とにかく、人、人、人! 週末というのもあるし、春節だからか、中国系の観光客がすごかった。団体さんだらけだった。気温も高めだし、梅が咲いていたりして、公園は賑わっていた。美術館のあたりも、動物園のあたりも、自撮り棒片手に写真を撮りまくる人たち。走り回る子供達。なんだか元気で景気が良い景色。

 でも、わたしは下ばかり向いて、歩いていた。もしかしたら、ヨモギとかそういう野草が生えているかもしれない、という淡い期待を抱いていたからだ。園芸種じゃない、野の草に出会いたくて。

 結果としてはーーだめだった。どこも、手が入れられている。のびるの一本も生えていない。柔らかそうな、春らしい草も生えていたけれど、ニンゲンが食べたいと思うようなものは、見当たらない。生えていたとして、あんなに人間が手を入れ管理をしている緑地だと、どんな薬(肥料とか除草剤とか、防虫剤とか?)が使われているか、わからない。どのみち、食べたいという思いは湧かなかったかもしれない。都会に住むとはこういうことか、と改めて痛感した。

 地元の千葉では、もうフキノトウが姿を見せ始めているようだ。日当たりの良い斜面には、よもぎも生えているらしい。羨ましい、と思う。でも、周りには、親戚の田舎が地方にあって、たまに会いにいけば野のものを楽しめるという人もいる。わたしの場合は、自分の親の近い親戚は一同揃って首都圏内なので、「田舎」という感じはしない。気軽に会いに行けるのは良いが、友達が夏休みとかに「田舎のおじいちゃんちに行ってきた」みたいに話すのは、いいなあ、と思っていた。無い物ねだりでしかないのだけれど。

 でも、結婚したら、夫の地元と縁ができた。夫は北海道の人だ。どうやら、千葉とは野草の植生も違うようで、あまりこれまで馴染みのなかったものも、ありそう(逆に、わたしにとって馴染み深いものが生えていなかったりもするのだろう)。春の草が生える頃に、北海道、いきたいなあ。それで、野原で思いっきり野草摘みをしたい。