読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

言葉遣いのこと

言語 文化の違い

 今日もスポーツジムへ行って汗を流した。サウナに入ろうとすると、中から賑やかな声が。

 A「おばちゃん、って言われたのよ!もう少し言い方ってのを考えてほしいよ!」

 B「そうよね、呼ぶにしても「すみません」で良いのにね」

 A「そりゃあ、おばちゃんかもしれないけれど、お姉さんとか、もっと良い言い方あるでしょ!」

 アラサーになろうとしているわたしも、気になる話題だ。サウナに入り、盛り上がる女性たちを見てみると・・・

 

 わたしの母より年上くらいの女性数名。60代中頃くらいだろうか。どうやらお店をやっている人で、客で来た女子学生に、「おばちゃん」呼ばわりされて憤慨していたのだ。「おばちゃん、○○ください」そんな風に言われたらしい。

 「わたしだったら、相手の年齢にかかわらず「お姉さん」と呼ぶけどねえ」という女性に対して、相槌を打つもう一人は「でも、お姉さん、っていうと水商売呼ばわりしてるみたいだしねえ」と返す。

 わたしは、彼女たちに声をかけるときにわざわざ「おばちゃん」と呼びかけたりはしないけれど、それでも内心では「おばちゃん」だと思っていた。反省した。認識を、改めようと思う。とはいえ、「おばちゃん、○○ください」、そんなに悪い言い方だろうか? 確かに憤慨していた「お姉さん」は、スポーツジムへも来るくらいだし、健康とか美容とかに関心があるのだろう。それでも、「○ください」の部分はちゃんと丁寧語が使えているし、そんなに憤慨するのは大げさな気もする。それを、30歳前後の、まさにお姉さんとおばちゃんの境目にある人が怒るのはともかく、還暦過ぎの女性が、というのは、やっぱりちょっと不思議だった。一通り自分の子供も独立させたくらいの年齢でも、「お姉さん」でありたいんだなあ。わたしも、30年後、同じことを言っているのだろうか? 「お姉さん」と「おばちゃん」の間に入るようなことばがないのが悪い、という人もいた。確かに、そうかもしれない。外国風に、「マダム」とか、「マム」とか、「ミズ」とか、そういう感じの言葉も、外来語として日本に馴染む気配は今のところ無い。

 

 散々「おばちゃん」と呼ばれたことを愚痴った後は、街で見る若いママたちの言葉遣いについても話し始めた。子どもを叱るときの言葉遣いが、あまりにも乱暴だ、と。お世辞にもあまり柄の良い街ではないけれど、「お姉さん」たちは、結構言葉遣いにうるさいらしい。確かに、口が悪い感じの人は街に多い。

 でも、以前からネットや本、新聞などでも書かれているけれど、場面場面に合わせた敬語が使えていない人が多い、必要以上に丁寧すぎるという人もいる。レストランに入ったときの店員さんへも、仕事の取引先へも、同じように最上級の敬語を使う。「丁寧すぎる」というのが不自然だという感覚に欠けているということだろう。

 大学にいた頃、英語の先生に、大学の教員にメールを送るとき、肩書きがわからない場合はとりあえず「Professor」とつけなさい、と言われた。丁寧にしておけば相手の機嫌を損ねることはないから、ということだった。とにかく多め、多めに丁寧にしておけば良い、という風潮は、日本だけのものじゃないのかもしれない。このアドバイスをくれた先生は、アメリカ人だった。敬語のルールが複雑な日本語だからこそ、敬語の使い方が良いとか過剰とか言われるようにみえる。でも、日本語ほど敬語の表現が多くない英語を使う社会でも同じような風潮が見られるのだとしたら、興味深い。