情報の出し方

 文章を書くのも、人と話すのも好きな方だけれども、どうしても苦手なことがある。それが、情報を出すタイミングを読むこと。コミュニケーションの方法の一つに、大事なことをあえて言わないことで読者や聞き手にドキドキさせたり興味を引いたりさせるというものがある。推理小説なんかを例にとるとわかりやすい。物語は、基本的に時系列で進んでいく。事件が起きて、探偵が呼ばれて、関係者を調査し、解決する。でも、時系列の最初に当たる「事件発生」の時、犯人が明かされないのが普通だ(そうじゃないスタイルもある。「古畑任三郎」なんかは最初から犯人がわかっているのが面白い)。私は、推理小説でいうならば「犯人を伏せておくこと」が苦手なのだ。結論が言いたくて仕方ない。言わないでおくなんてできなくて、すぐに言ってしまいたくなる。これは、小さい頃からの弱点な気がする。

 小さい頃、なぞなぞを出し合って遊ぶということがあった。答えるのは好きだけれど、出題が下手だった。母に笑われたのを今でも覚えているのは、こんななぞなぞだ。

 

 「りんごだけど〜、赤くてまあるいの、なあんだ?」

 

 これは、「パンはパンでも、食べられないパンはなんだ?」の類似問題ではない。わたしの作った上記のなぞなぞの答えは、「りんご」なのだ。最初に答え教えちゃってるじゃん! というわけだ。

 こんななぞなぞを出すようなことはなくなったが、それでも情報を伏せておくのは苦手だ。これが上手になると、文章ももっと面白くなるのかな、と思う。日常の中から、それなりに面白いネタを見つけることは、それなりにできているだろう。でも、それをどう調理するか。それが今伸ばしたいことなのだ。