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銀杏の季節

 銀杏の季節。イチョウの木にみのる、あのニオイの強い実。あれのことを「キックボック」と言ってイチョウの木にキックかまして実をとろうとしていたのは、以前の記事にも書いた通り。


 先日浅草寺に行ったら、大粒の銀杏が鈴なりになっていた。あれは大粒だ。拾ったら良い食材だったろうけれど、観光客でごった返す浅草寺の境内で、ニオイの強い銀杏をビニール袋に詰めて歩く勇気も、それを家まで持って帰る勇気もなく、拾うのはやめてしまった。家に持って帰っていれば、よく洗い、紙袋に少しの塩とともに放り込んで、電子レンジでチン。他にない、簡単で美味しいおつまみになるのに。


 三日前、出先で用事を済ませた後、天気が良かったので数駅分散歩をした。道のりは、溜池山王駅から東京駅の間。国会議事堂や警視庁、皇居の横をすり抜ける、「東京の中心コース」。あのあたりは、さすがに車道も歩道もそれなりの幅があり、車道と歩道の間に植え込みがある。国会議事堂の周りは、銀杏並木になっていて、場所によってはもう葉が黄色くなりかけていた。イチョウの木が黄色に染まれば、それは美しい景色になるだろう。ウェブで画像検索してみても、国会議事堂と真っ黄色のイチョウの木という写真がいくつも出てきた。その足元、植え込みのエリアが、真っ黄色になっている場所があった。イチョウの木の葉はまだ緑色なのに、何故・・・と思い、近づくと、敷き詰められていたのは、数え切れないほどの銀杏!隙間がほとんどないどころか「積もっている」とすら言える有様だ。正直言って、クサい。

 

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 国会といえば、国を動かす重要な場所。そんな場所のまわりが銀杏の実ニオイでクサいなんて、どういうことか。バラをたくさん植えて、ローズの香りで満たそう!とは言わないまでも、銀杏のニオイは、とにかく強烈だ。


 何が残念かというと、銀杏の粒が小さいこと。黄色く柔らかい実の部分で、せいぜい親指の先くらいの大きさ。その中の、硬い殻に包まれた種は、もっと小さいだろう。せめて、大粒の銀杏であれば、銀杏を好きな人が拾いに来るだろうに。あるいは、「国会前の銀杏」として、選挙に出たい政治家志望の人たちのためのゲン担ぎグッズとして売り物になるかもしれない。が、そんな活用もできないくらい、実が小さい。残念だった。


 国会には、社会科見学の小学生が団体でぞろぞろ歩いていた。子どもたちにとって、国会の印象と、銀杏のニオイの印象が結びついて記憶されてしまうとしたら、不本意だ。ニオイは記憶と強く結びつくという。大人になって、どこかで銀杏のニオイを嗅いだ時、国会を思い出したりするのだろうか。それなら良いけれど、テレビで国会中継を見たり、国政の選挙に投票したりするときに、銀杏のクサさを思い出すのだろうか。そうだとしたら、あまりにも悲しい。