回らない乾燥機

 今日は洗濯機を回すのがいつもより遅くなったのと、天気もイマイチだったのとで洗濯物がすっきりと乾かず、コインランドリーの乾燥機を使うことにした。薄手のものはともかく、やっぱりこの季節は厚手のものが多い。だから、特に乾燥機に入れたいものだけを選んで大きなバッグに入れ、あとは好きな文庫本と乾燥機代200円(10分100円の乾燥機だ)とスマホだけを上着のポケットに突っ込んで、コインランドリーへ。わたしが住む街は銭湯も多く、自然とコインランドリーも多い。この街に住むようになって、初めてコインランドリーの便利さを知るようになった。

 さあ、玄関を出て1分でコインランドリーに着く。洗濯物を乾燥機に入れ、20分乾燥のために、100円玉を2つ投入口へ。そして、スタートボタンを押し、ヒーターがごおごお鳴るのを聞きながら、わたしは近くの椅子に座り、持ってきた文庫本を取り出した。20分と言うと待つと長いがちょっとした読書には良い。本に挟んでいたしおりのページを開き、何気なく乾燥機を見上げると、相変わらずごおごお音は立てているものの、一向にドラムが回らない。あれは、熱風が吹く中でドラムが回るから洗濯物全体に乾いた空気が周り、乾燥する仕組みなのだから、回らないと困る。熱風が乾燥機の中を満たしてから回るんだっけ、と思ってしばらく見ていると、残り時間の表示が20分から19分、18分と減っていく。それでもドラムは回らない。設定がおかしいのかな、と思い、標準モードから送風モードとか、低音モードとかに変えてみてもドラムは回らず、いてもたってもいられなくて、ドアを開けた。そうしたら、ドアが開いたのが感知されて熱風は止まり、洗濯物を触ると、表面は暖かくなっていて、重なっている内側を触るとひんやり冷たい。やっぱり、これじゃあ乾かない。最初に100円だけ入れて始めていれば、とりあえずその100円は諦めて他の乾燥機に洗濯物を移してやり直せるけれども、わたしは持ってきた全額の200円をすでに入れてしまっていて、お財布は家に置いてきたから有り金はゼロ。ドアを閉め、再びスタートボタンを押すと、熱風だけが再開した。

 これは仕方ない、と思い、数分に一回、ドアを開けて手動で洗濯物をかき回すと言うことを2度ほどしたけれど、バカバカしくなってしまった。仮にわたしが乾燥を終えられたとしても、次の人がやっぱり困るはず。無人のコインランドリーだと、誰に言えば良いかわからなかったけれど、あたりを見回すと、管理人の電話番号が書いてあったので、電話をして、きてもらった。結局、管理人さんもすぐには原因がわからなかったようで、200円を返金してもらい、隣の乾燥機を使うことに。とは言え、手動でかき回しながら、その時までにすでに15分も熱風に晒していたので、だいぶ乾いている。悪いかな、と思いながら、返金されたうち100円だけ乾燥機に入れた。今度は回った。

 洗濯物は、ある意味とてもプライベートなものだ。今回については乾きにくいものしか入れていなかったから良いけれど、下着なんかを入れた状態で乾燥機がおかしくなってしまっては、恥ずかしかったと思う。実際、状況を見るために、管理人さんはわたしの洗濯物が入った状態で乾燥機を開けた。無人のコインランドリーと油断していたら、急にプライベートが明るみに出た感じがして、少し居心地が悪かった。それが、下着を含まない、服やタオル類ばかりだったとしても。

 ちょっと気まずい思いをしながらも、10分後、しっかりわたしの洗濯物はホカホカになった。とりあえずバッグに洗濯物を入れ、家に帰って出して見ると、ちゃんと乾いていた。空気を含ませながらの乾燥機は、タオルをふわっとさせてくれる気がする。トラブルもあったけれど、結局のところ、バッチリ乾いた清潔な洗濯物の気持ちよさを手のひらで味わうと、やっぱり便利だなあ、という方向に心は収まってしまった。そういえば、ポケットに突っ込んだ文庫本は、結局1ページも進まなかったけれど。

今日のケモノ

 今日は夫が休みだったので、二人で上野動物園へ行ってきた。なんとなく気になっていた「けものフレンズ」の第一話を観た後だったから、サーバルキャットもいるかなあ、と思ったら、こちらはいなかった。パンダは繁殖のために公開をしていないと言うことで、ちょっと残念だったけれど、また来れば良い。入場料は600円だけれど、年間パスポートは2400円だから、4回来れば元が取れる。早速買った。上野へのアクセスは簡単だから、頻繁に来られると思う。パンダを見に行ったって良いし、フクロウ目当てで行っても良い。ホッキョクグマも可愛かったし、ゴリラの親子が仲睦まじく並んで座っているのも愛嬌があった。

 ゾウを見ている時、一頭が、のそりのそりと後ろ向きに数メートル歩いた。後ろには水場がある。ざぶんと水浴びだろうか。でも、なぜ後ろ向き? と思っていたら、ボトボト、と何かが落ちた。そうか、排泄ね。水場の際で、大量のフンをした後、ものすごい勢いで小便もした。見ている他の客も声をあげるほどの勢い。ちょっとしたボヤなら消せそうなほどだった。そういえば、実家のフクロウも、排泄をする時はずりずりと後ろに歩く。まさか、ゾウとフクロウの間に共通点があるなんて、思いもしなかった。もしかして、いろんな動物に見られることなのだろうか。せっかく年間パスポートも買ったのだから、今度は別の動物をもっとよく注目してみようと思う。

ポケモンのおかげ

 21年前の今日、ポケモンが発売されたそうだ。わたしは赤バージョンを買ってもらい、ドキドキしながらプレイした。初めてのジムリーダー戦で手持ちのポケモンが全滅した時は、「これでもうゲームオーバーで、まだ遊び始めて少ししか経っていないのに、もうこのゲームでは遊べなくなってしまうんだ」と思い込み、大泣きをした。色々な裏技の情報も集めたし、友達と交換しながら150匹揃えた。ゲームショウではミュウを通信でもらって、だから、一通り全部揃えたこともあるということだ。

 わたしの人生を振り返れば、ポケモンにはかなり恩がある。8歳で両親に連れられアメリカで一年過ごすことになったその年に、ポケモンがアメリカで発売された。日本語版では遊んだことがあったけれど、英語版も買ってもらい、英語でも遊んだ。どのポケモンがどれくらいのレベルで何を覚えるのかはなんとなくわかった。アイテムは、ショップで売られている値段を見て、「ああ、このアイテムは日本語だとあれだな」というあたりをつけて判断した。そうしている間に、英語を少しずつ自分のものにしていった。

 アニメに至っては、日本では週に一回の放送だったけれど、アメリカでは月曜日から金曜日の朝、毎日放送された。だから、朝起きてからスクールバスに乗る前の時間が「ポケモンの時間」だった。英語は全然わからなかったけれど、ポケモンのアニメは日本で観ていたから、ストーリーはわかる。そうやって平日毎日ポケモンを観ていたおかげで、英語のリスニングが強くなった、と思う。ただ毎朝観るだけじゃなくて、ビデオに録画もしていたから、しょっちゅう観ていたんだろう。それで、日本の学校で英語を習うときに最初に覚えるような単語は全然わからなかったけれど、「頭突き」とか「毒」とか、そういう妙な英単語ばかり覚えた。ポケモンが、わたしにとっての英語のハードルを下げてくれたし、友達との会話のネタにもなってくれた。このことが、約一年間のアメリカ滞在を支えてくれたし、その後、中学や高校でも無理なく英語の勉強に入っていけたり、大学受験の時は英語が難しいと言われる大学にも受かるほどのチカラの基礎になった。

 あの時ポケモンがなくても、一年間はアメリカにいたのだから、確かに英語は身についただろう。でも、現実に、わたしはかなりお世話になったし、何しろ楽しんだ。ポケモン、ありがとう! 誕生日、おめでとう!

久々の干し物

 このところあまり気が向かなくてやっていなかった、乾物づくりをした。昨日たくさん採った、よもぎだ。葉の柔らかそうなところは昨日草団子にしたけれど、もう少し固そうなところとか茎とかをとっておいた。それを乾燥よもぎにして、色々使ってみたいと思っている。ネットで、乾燥よもぎがそこそこの値段で売っているのをみて、悔しかったのが頭に残っていた。自分で採って干せば無料じゃん、と。そういうわけで、今日がその実践の日だった。

 ざるに入れて洗って

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 キッチンペーパーで軽く水気を切って

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 あとはベランダに干すだけ!

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 まだ今日のところは乾き切っていないから、もうしばらく干しておこうと思う。匂いを嗅ぐと、ふわりと草が香る。どうなるか、楽しみだ。

収穫!春の味覚

 今日は仕事で地元へ行ったついでに、外を歩いて摘み草。今日の獲物は、ヨモギとセリと野蒜とフキノトウフキノトウは知り合いのお宅のご好意で、お庭に生えているのを摘ませてもらった。野蒜はむかし畑だったような柔らかい土のところに生えていた立派なのを三本だけ。土がふわふわだったおかげで掘りやすかった。よもぎは日がよく当たる斜面にモサモサ生えていた。

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 よもぎは柔らかいところを選んで草団子に。ざかざか大量に摘んだところは、明日干して乾燥よもぎにする予定。ふきのとうはやっぱり天ぷら。塩だけつけて熱々を食べると、じゅんわりと苦味が広がる。年に何回も食べられない、貴重な味。初の土の産物。

 ごちそうさまでした。

歯医者にて

 およそ7ヶ月ぶりに、歯医者へ行った。虫歯の治療ではないけれど、歯石の除去とか、まだ残っている乳歯を守るためのメンテナンスとか、そういうことのために。痛い治療はないし、終わると口内がツルツルになって気持ち良いから、昔ほど歯医者へ行くのは嫌じゃない。昔は、それはそれは憂鬱だったけれど。

 そこの歯医者は、トレードマークがフクロウ印。以前、雑談の中で、実家にフクロウがいるということを話したら興味を持ってくれて、行く度に、フクロウちゃん、元気にしてます? と聞いてくれる。歯科衛生士さんだけじゃなくて、ドクターもフクロウに興味があるようで、今日は左右からフクロウのことを聞かれまくった。フクロウのことにあれこれ興味を持って、聞いてもらえるのは嬉しいし、ある程度応えられるから楽しい。つい、色々と話してしまった。

 話している途中で、「じゃあ、また椅子倒しますね、口を開けてください」と言われ、椅子に身を任せ口を開ける。自然と、会話は途切れる。と思いきや、向こうは引き続き色々聞きたいようだ。歯石を削り取りながら、色々なことを聞かれる。食べ物はどうするのか、フクロウを飼ってると旅行なんかは行けないのか、などなど。こちらは口の中にあれこれ入れられているし、精々「はい」とか「ううん」とかくらいしか言えないのに、イエス/ノーでは答えられないようなことも聞かれ、戸惑う。歯医者の人は、どんな風に会話が進むことを想定しているのだろう? よく考えたら、他の人がどうしているか、観察なんてしたことがなかったし、「正しい」やり方を知らないことに気づいた。

 実は、全国共通のボディランゲージでもあるのだろうか。手話のような? 「痛いときは左手を上げる」というルール以外にも、わたしの知らないところで、コミュニケーションの方法があるのだろうか。大きな口を無防備に開けて口内を治療されている姿ってあまり人に見られたくないものだし、覗いたことはない。でも、みんなはどうしているんだろう。ちょっと、いろんな人に聞いてみたくなった。

塞いでいたもの

 一年くらい前からだろうか、親たちが、もう80過ぎの祖母の耳が悪いんじゃないかと心配し始めた。祖母は、視力や聴力を始め、体が健康なことが自慢で、「誰々さんに、健康でいいわねって言われたのよ〜」といつも嬉しそうに話す。それでもやっぱり、電話をすると話が通じていない感じがしていて、耳鼻科に行くことを勧めたりしていた。健康自慢の祖母にとっては、補聴器などは不名誉なイメージなのか、なかなかすんなり受け入れるというわけにはいかないようだったけれど、ともかく、なんとなく会話がずれているなあと思いながらも過ごしていた。

 今日、久々に祖母のところへ遊びに行き、一緒に昼ご飯を食べ、楽しくおしゃべりしていた。そんな中、母が、電話がやっぱり聞き取りにくかったようだけれど、携帯の設定がおかしいのかな、見てみようか、と提案した。ちょうど昨日、耳鼻科に行って、先生がなんの問題もないと言ってくれた直後だったけれど、どうも電話は会話がずれる。だから、携帯の通話の設定がおかしいんじゃないか、と思ったそうだ。祖母の携帯はシンプルな機能だけが使えるようなガラケーで、そんなに古くない。故障ではないにしろ、何か思わぬ設定変更がかかってしまって、聞き取りにくくなっているのだろうか。ともかく母と私とで、見てみることにした。

 祖母の携帯を手に取り、ぱかっと開く。待ち受け画面は正常に開き、なんの問題もなさそう。携帯を新しく買った時に画面に貼ってある保護シートが貼られたままになっていて、剥がれそうなのを抑える為なのか、セロハンテープが上から貼られていた。何かにつけてセロハンテープで補修したりラベルを貼ったりしている祖母らしいものだった。

 とにかく、どんな風に聞こえているか試したいから、この携帯に電話かけてみてよ。そう母に言って、母は廊下から電話をかけた。祖母の携帯が着信音を鳴らす。着信ボタンを押す。廊下の外から母が話す声が、右耳から直接きこえるのと少し遅れて、左耳にあてた携帯から聞こえる。でも、音はくぐもっていて、聞き取りにくい。やっぱり聞こえにくいみたい。そう母に伝え、電話を切ると、母がリビングに戻ってきた。

 改めて、手に握る祖母の携帯を見る。通話の音量は最大になっているようだ。あれこれ設定画面を見てみても、特に妙なことは起きていなさそう。正常そうに映る設定画面。その上には保護シートがまだ貼られていて、上からセロハンテープがそれを守っている・・・けれど、あれ? このセロハンテープ、耳にあてるスピーカーを、塞いでる?

 「おばあちゃん、このセロハンテープ、音が聞こえてくる穴を塞いじゃってるよ。買った時についてた保護シートが剥がれないようにテープを貼ったんだろうけれど、このシートはなくても良いから、剥がしていい?」

 そう断って、テープをはがし、もう一度、廊下から電話をかけてもらう。

 「もしもーし!」

 聞こえる。音量も、音質も、さっきの3倍くらい良く聞こえる。繋いだまま、携帯を祖母に渡し、母と少し通話してもらうと

 「あ、聞こえる! ずっとよく聞こえるよ!」と嬉しそうに声を上げる祖母。母が廊下から戻ってきた。三人で、笑わずにはいられなかった。なあんだ、携帯の故障じゃなかった。難しいこと、何にもなかった。穴が塞がっちゃ、そりゃあ聞こえないよね。いつの間に、セロハンテープ貼っちゃったんだろう。確かに近頃はいろんな人に、「聞こえてる?」って聞かれたのよ。あはは、あはは、あはははは。すごくシンプルな問題解決で、誰も嫌な気分になることなく、大笑いで一つの課題が達成された。それはすごく嬉しいことで、気持ちよくって、そして、拍子抜けでもあった。若者世代としての、ガジェットの扱いの知恵が試されるかも、と内心ではつい意気込んでいたのだ。

 「音が聞こえにくいんです」なんて、ソフトバンクショップに持ち込まなくて、良かった。お店に持ち込んだ上で原因がセロハンテープだったら、やっぱりちょっと恥ずかしかったと思う。一つの問題が解決したし、大笑いもして(ブログの話題にもなって)、良いひとときだった。