蹴らなくなったフクロウ

 少し前に、実家の近くに引っ越してきた。だから、もう下町住まいじゃなくなったけれども、まあ、しばらくは「下町ふくろう」を名乗ろうと思う。

 実家といえば、母がフクロウを飼っている。父が単身赴任していて、わたしがイギリスに留学している間に、一人暮らしになった母が飼い始めたフクロウだ。かわいいけれども、その後、わたしが結婚をして家を出てから、実家に帰るたびにわたしのことを蹴るようになった、ちょっと憎たらしい子でもある。詳しくは、過去の記事「実家のライバル」を読んでいただきたい。

 結婚をしてから蹴るようになった。その態度の変化に驚いたものだった。でも、今度は引っ越してきて、近所に住むようになったら、また蹴らなくなったのだ!

 フクロウには、何が見えているのだろう。あの、何かを見透かしそうなまん丸な目は、どんな変化に気づいているのだろう。わたしがちょっかいを出さない限り、本当に、蹴らなくなったのだ。とても気を使ってソフトランディングして、頭の上に乗ることもある。ライバル関係は解消され、少しずつ、距離は近づいている、と思う。